【有料級】表情豊かな演奏をする方法<前編>イメージや譜読みの仕方で表現力を高める!
「あの人の演奏、とても表現力あるなぁ」「私もあんなふうに演奏してみたい!」
「でも、どうやってやるの…?あの人は何を考えて演奏しているの…?」
そんなことを感じたことがある方は多いのではないでしょうか。
ありがたいことに、動画やコンサートで私の演奏を聴いた方から、「表情豊かですね!」と言ってもらえることが増えました。
ですが、私は元からそんな演奏ができていたタイプではありません。
「もっと表現して!って言われるけど、具体的にどうやってやるねん!」
と、長年悩んでおりました。
そして、今もまだまだ勉強・研究中です。
ですが、そんな身だからこそ!あなたの悩みに寄り添えるのではないかと思い、今の私の中にあるものを出してみようと思います。
ということで、私なりに理解しした、表現豊かに演奏するために必要なことを、前編・後編の2回に分けて紹介します。
今回は前半の、イメージ編です。
前編は特に、初心者🔰でもわかるようにまとめました。具体的なアクションの提案もします。
すごく長文になってしまったのですが、順を追って説明しますので、ぜひ最後まで読んでください!
前提ー表現力が豊かとは
”表情が豊か”とか”表現力が高い”ということは、演奏者の「こうしたい」という意図が反映された演奏だと思っています。
なので、前提として「こう吹きたい」という気持ちがないのであれば、それは表情に乏しい演奏になってしまいます。
「こう吹きたい!」というイメージを持ち、それを表現できることで
・説得力が増す
・練習が楽しくなる
・聴いている人に感動してもらえる
・緊張しても音楽に集中しやすくなる
など、いろんなメリットがあります。
じゃあ、どうやって「こう吹きたい」をイメージしていくの?イメージさえすればOKなの??
順を追って説明していきます。
※まず、ここでは作曲者の意図や時代背景、楽譜の分析…など少し難しいことは置いておきますね。(初心者でもわかる記事にしたいため。次回話します)
1.まずは自分が感じることが大事
テクニックばかりに夢中になっていないか
今、あなたがチャレンジしている曲に出会った時、どんな気持ちになりましたか?
「とっても綺麗!素敵!」だったり、「悲しい時に寄り添ってくれるなぁ…」と、しみじみしたり。
まず、その曲に対して、自分がどんな感情を持っているか、が “表現の材料の一つ” になります。
ですが、
いざ練習を始めると、音を出すことや、楽譜通りに吹くことばかりを考えてませんか?
先生に言われたからこう吹いてる。とか、
いつの間にか楽譜通りに吹くことに必死になり、感情が置き去りになっていることが多いです。
「ただ吹いているだけだよね」「何も伝わらない」と言われるのはこれが原因であることが多いと思います。
先生に言われた通りにしかやっていない人は、今から紹介するやり方で、一曲仕上げてみてください。
おすすめ:感じたことを書いておこう
練習し始めると、テクニックばかり気にしてしまうのよね…。
そんな方におすすめするのは、
「自分がその曲に持っているイメージ、感情をメモしておく」こと。
どうしても、練習し始めると音の間違い、音程 etc…などが気になってしまいますよね。
そのうち、感じたことを忘れてしまうんです。ということで、メモしておいてください。
もちろん、一曲を通してずっと同じではなく、曲は展開していきますよね。
なので、その場面ごとにイメージしたことや気持ちを楽譜にメモするなり、ノートに書き出すなり、していきましょう。
途中で「違うな」と思ったら消して書き直しても構いません。
これがまず第一歩です。その曲に対する感情がないと、この先には進めないんです。
誰かに指示されたように吹いても、自分の心で感じていなければ全く音に乗らないのです。
そう考えると、「感受性」「感情」って本当に大切だなって思いますね。
その曲を聴いて、あなたはどんな感情を抱きましたか?
2.ストーリーを作っていく
1.では、感じることが大事だよという話をしました。
なんだか”優しい気持ちになる”メロディーがあったとしましょう。
そこで、「優しい音を出したいな。優しい演奏がしたいな」だけでは、なかなかその先には進めないのが現実です。
ここで大切になってくるのが、イメージやストーリーです。
ほとんどの音楽は、文章や物語と同じで起承転結があります。
なので、あなたが練習している曲にもストーリーを持たせてみましょう。
1.主人公を決めてみる
ストーリーを作っていくために、主人公を設定してみましょう。
(主人公は必須ではないですが、想像しやすいため、決めてみるといいと思います。)
ここでは例として、「おじいさん」を主人公にします。
次に、おじいさん像を具体的にしていきます。
どんなおじいさん?:日本人?フランス人?はたまたアメリカ人?ふくよか?痩せてる?元気?弱ってる?など
”おじいさん”としか思ってなかった時よりも、主人公像より鮮明になったと思います。
具体的であればあるほどいいと思います!
(昔、わたしはよく「景色」をイメージして演奏することもありましたが、景色自体に感情はないからか、あまりしっくりきませんでした。その景色を見ている「主人公の感情」を想像する方が、自分的には演奏で表現しやすかったです。)
2。主人公のいる環境や、気持ちを想像してみる
次に、おじいさんがいる環境、何をしている?など、状況をどんどん具体的にしていきます。
どこで何してる?:日本の田舎??ベネチア?お城?家の中?寝ている?読書してる?庭の手入れ?など
いつ?:春夏秋冬?天気は?晴れている?大雨?朝?夜?など
その優しさは誰に向けている?妻?孫?ペット?育てている花?
さらに、頭の中に浮かぶ絵の解像度があがっていきますよね!
曲を聴くだけでいきなり具体的にイメージすることは難しいかもしれないですが、曲のイメージに合うと思う設定を自分で作ってみてください。
最初に「切ない」と感じたなら、自分が本当に「切ない」と思える設定を作ってみるのです。
3.楽譜を読み解き、さらに具体的にしていく
ある程度イメージできたら、楽譜に書かれたことも取り入れ、さらに具体的にしていきます。
(もしも、2で「そんなに上手にイメージできない!」と思った方は、この工程を先にしてもいいと思います。)
楽譜の中にはいっぱいヒントがあります。
例:強弱記号から読み取る
詳しいことは後編の記事でお伝えしますが、楽譜から読み取れることでわかりやすいことで言えば、強弱記号ですね。
小学校の授業で教えられるのは、
・フォルテは、大きい。
・ピアノは、小さい。
でしたね。でも、こう解釈してしまうと素人の演奏から抜け出せません。
このような強弱記号を見つけたら「なぜなのか」を考えるのです。
どうして「f フォルテ」なの?
普段、大きな声を出したい時ってどんな時でしょう?
何かを訴えたいとき、すっごく嬉しかったとき、腹が立ったとき etc…
思い浮かぶものがたくさんありますよね。
「ここは怒りに満ちているんだな」「これは手放しで喜んでいる感じかな。」
そうやって、書かれた強弱記号の理由づけをしていきます。
「フォルテ」と、一言で言っても中身は全然違うんですね。
どうして「p ピアノ」なの?
では、「p ピアノ」は?どうして小さくなの?
赤ちゃんを起こさないように?
小さい花のような”かわいさ”を表現したいの?
声を押し殺して泣いている?
ため息?
「p ピアノ」にありがちですが「小さく」としか思っていなかったら、
ただただ、小さいだけの「死んだ音」になりかねません。
生きた音にするために、自分なりのイメージをして、音を出しましょう。
自分のイメージと楽譜が違っていたら
もし、抱いた自分のイメージと、楽譜に書かれた強弱が違うのであれば、
楽譜に書かれたことを優先し、自分の納得する感情に置き換えてみましょう。
ストーリーも書き換えてOKです。
「ここで怒りの頂点かと思いきや、まだmf(メゾフォルテ)かぁ。じゃあこの先にピークが来るってこと?」
こんな感じで、楽譜から推理していくのも楽しいですよ!
4.自分の感情と、楽譜に書かれたことを掛け合わせる
自分の感情と、楽譜に書かれたことを掛け合わせて、最初から最後までオリジナルストーリーを作ってみましょう。
例)こんなストーリーを作ってみた
私がとある曲を聴いて作ったストーリーを、一つの例として挙げてみます。
主人公:80代、フランス人のふくよかなおじいさん。メガネをかけていて、優しい表情。
環境:12月の寒い夜、家族が寝静まったあと。暖かい暖炉の前にあるロッキングチェアの上にいる
何をしている:眠れないおじいさんは、ロッキングチェアに座り、ホットミルクを飲みながらこれまでの人生を振り返っている。
暖炉の上には愛する5才の孫の写真が飾ってある。それを眺めながら、愛する孫の未来と、自分の残りの人生に想いを馳せている。
全体を通して曲がもっている「あたたかさ」は、大事な大事な孫への愛する気持ち。
しかし、底抜けに明るい曲ではない。途中で醸し出される切なさは「あと何年孫を抱いていられるのか」という、おじいさんが直面している「残りの人生の短さ」
途中で登場する踊りのような雰囲気は「無邪気な、自分の子供時代の夢を見ているシーン」
曲の終わりの方で流れる悲しいメロディは「夢から覚めて現実に戻った時の落胆」
こんな感じです。これを読んで、おじいさんがいる景色が頭に浮かんだのではないでしょうか?
とにもかくにも、具体的にしていくことが大切です。
こういう事で、曲全体に流れができますし、表情に満ちた演奏に近づけると思います。
ヒント:イメージができない!つまづいたら…
- 心身が疲れているので休む
- 映画や本を観てみる
- 演奏会に行って演奏を聴いてみる
をしてみてください。順番的には、まずは休むこと!疲れていると心がカチカチにかたまり、感動する余裕なんてないと思うので、心身を休めましょう。
映画や本は、イメージの材料にもなるのでとてもおすすめです。
演奏会に足を運ぶことも、とても大切です。
いい演奏を聞くことでインスピレーションを得ることもたくさんあるからです。
できるだけ普段から演奏会を聴く機会は大切にしましょう。
5.イメージ、感情を込めながら譜読み・練習する
イメージするのを後回しにしない
イメージしたり、感情を込めるのは、譜読みが終わってから…。は、あまりオススメしません。(私はこれをやっちゃっていました;)
二度手間ですし、最初に優先したことが、割とその演奏の軸になる。と、私は考えます。
どうせなら、音符を読み始める時から「何を表現したいのか」はいつも頭の隅に置いて譜読みするようにしましょう。
込めたい感情が違えば、譜読み段階で出す音も変わるはずです。
イメージしてたら、なかなか指が回りません!と言うなら、イメージしながら吹ける速さで譜読みしていくのです。
そのほうが譜読み自体も絶対楽しいと思いますよ!
それに、少なくとも譜読みがただの「作業」になることはないと思います。
【例】絵を描くことをイメージすると、分かりやすいかもしれません。
どこにどの色を塗るか、決め切ってから一気に色を塗るわけではないですよね?
描きながら、色を足したり、変えたりしていくと思います。
イメージしながら譜読みしていくこと=描きながら絵に色をつけていくこと。私はそんなイメージをしています。
なりきって演奏する
イメージは大切ですが、本番中に「えっと、こんなおじいさんが、どこにいて、何をしていて〜」なんて
全てを思い浮かべながら演奏しなきゃいけない訳では無いです。(出来る人はいいけど)
一度具体的にイメージできれば、演奏するときにそれを一つずつ思い浮かべなくて大丈夫です。
大事なのは、そのストーリーから得た感情を持ちながら演奏することです。
役者さんの例
演技で例えると、ケンカするシーンなのに、感情なしにセリフだけ言われると、観客側には全然怒りが伝わってこないですよね。ただの棒読みになるので。
上手な役者さんは、お芝居の世界だったとしても、リアルに心の底から怒ってセリフを言うので、観客側にも伝わってくるし、お芝居の世界に入り込めるんです。
演奏でも、役者のようになりきる。のです。
感情を込めても吹ける速さで練習する
もしかしたら、いつも間違えないところも「感情を込めたら音を間違えてしまう…」ってこともあると思います。
その場合は、感情を込めても吹ける速さで練習するのです。
でも、まぁとりあえずはミスしたり、カスっても良いので、一度感情を優先して吹いてみてください。
普段と違う自分の演奏、感覚に出会えると思います。
重要:基礎練習だってイメージを持って!
曲は、どうしても吹くだけでも精一杯になってしまう。という方は、
スケールやロングトーンなど、吹き慣れている基礎に対して、イメージを持って吹くことから始めましょう(というかそれは当たり前ではあるのですが!)
流石にこの辺は語ると長くなるのでまた別記事で書くとします。
6.大切なことはイメージや感情を〇〇化していくこと
ここまでお読みくださったあなたなら〇○に入る言葉がわかるのではないでしょうか。
そう、「言語化」です!
イメージって、頭の中で映像が浮かぶものなので「私はちゃんとイメージできてるよ」って思いがちなのですが、意外と言葉にしようとすると、全然具体的に考えられてなかった…ということが多いです。
出来てるつもり。だったのですね。
なので、とにかく言葉にする。書き出しましょう。書いていくうちにどんどんイメージが広がっていくことも多いので、まず書いてください。
イメージを言語化していくと、それに付随する感情もたくさん出てくると思います。
正直なところ、私が「表現できない」って思っていた頃は、この過程をすっ飛ばしてしまっていました。
(だって、音楽って言葉じゃないから。言語化する必要なんてなくない?って思ってました:)
でも、言語化した時の方が明らかに伝わる演奏ができるし、自分自身が演奏していてとても楽しいです。
なので、今はこの重要さがわかります。そして、この記事でお伝えしたことが、次の記事でお伝えしていくスキルと繋がるので、ないがしろにしないで丁寧にやってみてくださいね。
まとめ
長くなったのでまとめます。
手順
- 自分が何を感じたか。を書き出す(言語化)
- 主人公像を具体的にしていく(言語化)
- 楽譜に書かれたことを元に更にイメージを具体的にしていく(言語化)
- 全体のストーリーを作る(言語化)
- イメージしながら、感情を込めながら練習していく
”手順”と書いていますが、この順番や、やり方がが絶対!ではありません。あくまで一つの提案です。
大切なのは感情を持つこと。イメージを言語化すること。
そして、いつだって表現したいことテーマに練習すること。(基礎も曲も)
【重要】普段から感情を大切に
ここまで読んで、「いかに感じることがが大切か」ということがわかったのではないかと思います。
大人になるにつれ、感情より頭で判断しなければいけないことが増え、「自分の本心はどうなのか」が置き去りになりがちです。
私自身、小さい頃から親の目や周りの意見を優先して生きてきたので、自分が感じたことが分からないし、イメージができない。できたとしても、それに自信が持てずにいました。
そうじゃなくても、現代は「ノウハウ」が溢れすぎて、そればかりに気がいってる人も多いと思います。
もちろんノウハウも大切で、それは後編でも触れるのですが。
感情がないならもうAIの演奏でいいですよね。
そういう意味で、あえて「自分の心」にフォーカスして欲しくて、このような記事を書いてみました。
表現は「するべき」ではなくて「したい」から始まるものなのです。
「先生に言われたこと」だけでなく、今一度「自分の心」がどうかを見直してみてください。
次回予告
さて、ここまでできて、ようやくスタートラインに立った。という感じです!
技術は一朝一夕にはいかないですが、イメージすることなら、フルートを始めて間もない人でも今すぐ取り組めると思うので、ぜひやってみてください。
さぁ、次回はまた違った角度からのお話になります。
イメージは大事なのですが、それだけでは伝わらないのが現実です。。
次回は、表現力にアップするために必要なスキルをお届けします。
大きくまとめると前半のこの記事は「イメージ編」で、後半は「技術編」になると思います。
イメージは右脳的なお話でしたが、次回は左脳的なお話になります。
どっちも大事なんですね。
長文にもかかわらず、ここまで読んでくださりありがとうございます!!
よかったらシェアしてもらえると嬉しいです。
次回もお楽しみに!
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