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いい音と出し方ー愛と欲望編ー

自粛きっかけで、たくさん本を読むようになりました。

その中でも勉強になったなーと思う本を紹介していきたいな と思って早半年(笑)

やっと1つ紹介ブログを書くことにしました。

今回ご紹介する本はこちら

『本物の思考力を磨くための音楽学~「本質を見抜く力」は「感動」から作られる~』

こちらの本は「生きている音楽」「死んでいる音楽」や、そもそも「なぜ人は音楽をするのか」など
色んな例えや前提を用いて、音楽の本質について幅広く語られています。

その中でも『音の美しさについて』の部分を紹介したいと思います。

※ちなみにこの本はピアノの例えを多く用いられています。

が、管楽器にもいかせられる部分はたくさんありましたので活かせそこを紹介できればと思います。

目次

美しい音とは何なのか?どういう状態なのか?

A.楽器が鳴っているかどうか

こんな風に書かれています。

『通常、私たちがある音を美しい音色であると感じるときには、その楽器が「よく鳴っている」と感じられるものです。

(中略)楽器をよく鳴らすためには、どのように弾くことが大切なのでしょうか。料理研究家の辰巳芳子さんは「味をつけるなんてとんでもない。味は、素材から引き出すものです」といったことを述べておられます。楽器についても、まさにこれと同じような事が言えるのではないかと思います。』

鳴っていることは音の響きに関係するし、響きのある音は「いい音」の条件でもあるので確かに…と思いました。

つまり、鳴っているかどうかは「いい音の最低条件」なのかもしれません。

ここからは、いい音の出し方について。

いい音を出すには

<愛>を向けるか<欲望>を向けるか

そのまま読み進めていくと、

著者は音色の出し方について<愛>と<欲望>の観点から考えを述べています。

『楽器に<欲望>を向けて「こういう音を出せ!」とコントロールしようとしてしまった時、その力みが裏目に出て、楽器は美しい音を出してくれません。』

『一方、その楽器の持つポテンシャルをよく理解し、楽器に<愛>を向けて演奏した時、あたかも楽器が喜んでいるかのようにこちらのイメージを超えるほどの美しい音を奏でてくれることさえあるのです。-』

あー、自分にも、楽器に<欲望>をむけていたことあったなぁ…と、思い当たる経験が。。

それは特に不調な時。鳴らしたい!など、楽器をコントロールすることばかりに頭がいき、やみくもに音を出そうとますます鳴らない…

という現象、よく陥ってました。笑

ちなみに著者は、管楽器はアンブッシュアの習得やヴィブラートをどのようにかけるかという正しい音楽的判断など、それなりの音を出すまでにかなりの苦労を要すると言っています。

(特に中高生によく質問されますが、いい音を出す魔法はありません…長年楽器と向き合ってコツコツと練習することが必要です。)

ピアノの弾き方

『対して、ピアノは鍵盤を押せば一応音が鳴るので、音色に意識が向いていない奏者が多い。』

という考えを述べた上で、じゃあピアノはどうすればいい音色を出すことができるのか、についても書かれています。

それも結構管楽器にも通ずると思ったので共有します。

まずロシアのピアニスト、ベラ・ダヴィドヴィチの言葉です。

『うまく弾きたいと思うなら、演奏者はまずピアノの前に静かに座り、全身の重さと力を感じ、それを使ってピアノを弾かなければなりません。その場合、全身は完全に脱力し、どこも硬くなってはいけません。

そして、身も心も鍵盤の最も深いところに”注ぎ込む”ように弾くのです。

ピアノの音は重さによって”押し出される”ように生まれます。決して叩き出すものではありません。

そのような柔軟でしなやかな奏法を身につければ、最弱音でも芯のある充実した音を出すことができます…-』

ー『音符ではなく、音楽を!』焦 元溥 (著) より

管楽器への活かし方

一見、微妙に管楽器に活かせそうな文ではありませんが^^;💦

私はずっと電子ピアノ育ちだったのですが、大学に入りグランドピアノでレッスンを受けることになった時に

私の弾き方が全然なっていなくて、先生から徹底的に「弾き方」を教えられました。

その弾き方も、まさに「注ぎ込む」というか…

ピアニッシモの時も、決して浅く軽く弾くわけではない。いつも「深いところに入る」ような弾き方でした。

フォルテの時でも叩いたりは絶対せず、あれが”楽器のもつポテンシャルを引き出す弾き方”だったのかと今改めて思いました。

(…といってもピアノに関して私はまだ100のうち1も理解したとは思っていませんが😂)

最近自分の音色、そしてその均一さ(低音から高音まで)を見直していて

それには「脱力」そして「深く」吸うという事が不可欠なので

個人的にとてもタイムリーな内容でした。

そしてピアニッシモだからといってブレスが小さかったり浅かったりするべきではないところも

フルートに通ずるなと思いました。(このあたりはまだ研究中ですが^^;)

いい音を出すにはイメージも大切だし、一概にコレ!とは言えませんが

想像だけでいい音が出るわけではないので、まずはこの基本に帰ることも大切かと思います。

自然に任せる

本著の中にピアノの打鍵を「バスケのドリブル」にたとえた一節があります。

『ピアノの打鍵をバスケットボールのドリブルに喩えてみれば、ボールを叩いてしまってはうまくドリブルは続きません。

ボールに手が吸い付くように沿わせ、それをスッと押し下げることが上手いドリブルのコツであるわけですが、ピアノの鍵盤に対してもこれと同様の押し下げ方が求められるのです。-』

私はバスケに関しては体育の授業くらいでしかやったことがありませんが

確かにうまく押し下げることができると、自然と跳ね返ってボールが勝手に手元に吸い付く感覚で戻ってきました。

「自然の原理を利用する」ということも、とても大事なポイントかと思います。

例えば、「息を吸おう、吸おう」とそればかりに必死になっても息は入らず、

それよりも「ちゃんと吐いてから、フッと力を抜く」と、勝手に息が入ってくるように。

まとめ:愛は大切だけど…

勘違いしないでほしいのは「愛を持てばいい」わけではないです。笑

「楽器を愛すればうまくなる」というふうに捉えられると、それはただの綺麗ごとのようになってしまうので…。

(高校の時よく顧問の先生が「楽器が好きだーって磨いてるだけではうまくならないよ」って言ってました笑)

コントロールする欲望ではなく、愛を持って、楽器のもつポテンシャルに寄り添い

いかに自然の原理に則って演奏するか、ということを考えたいものです。

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